【連載】「セールス・プロセスの改善」とは(第3回)
連載で「セールス・プロセスの改善」について説明しています。
今回のお話しは資料の「イノベーションのプロセス」についてです。「イノベーション理論」について、わかりやすく説明してゆきます。
本連載は下記からダウンロードした資料を見ながら読むことで理解が進むと思います。是非、ご利用ください。
今回のお話しは資料の「3.イノベーションのプロセス」についてです。
図にあるように”イノベーション理論”を中心にご説明いたします。
イノベーション理論は図の通り、顧客層を5つに分類しています。
①Innovator | マニア・おたく 新技術熱烈支持者 |
②Early Adopter | 進歩派 新テクに理解を示し問題解決に役立てようとする。 自らの先見があり広告塔に成り得る。 |
③Early Majority | 大衆前期 実用性を重視する。他社事例を見極める。 |
④Late Majority | 大衆後期 手厚いサポートを期待し、実績ある大企業と付き合う。 |
⑤Laggards | 伝統主義者・無関心層 ハイテクが嫌い、連続性を重視 |
イノベーション理論的には、新技術を⑤Laggards(伝統主義者・無関心層)に提案しても歯が立たないことを示しています。実際その通りですので「何回も足を運べば理解してくれる」と決めて通っても毎回何か新しい宿題を持って帰り、また提案。という言わば効率の悪い営業を強いられます。
イノベーション理論には最高なテキスト(書籍)があります
それはジェフリー・ムーア著「キャズム(原題名:Crossing the Chasm)」です。
※現在第2版が出版されていますが、私はこの本を推奨いたします。
この本を読み、下記括弧の空欄を穴埋めができれば製品コンセプトを間違わず、ブルーオーシャンに製品を投入できます。
ジェフリー・ムーアの問いかけ
( )で問題を抱えている
( )向けの
( )の製品であり
( )することができる。
そして( )とは違って
今開発中の製品・サービスには( )が備わっている
実はこの( )で問いている答えのハードルはかなり高いものです。なぜなら埋めるのは下記情報が不可欠だからです。
- 顧客の課題
- ターゲット
- 顧客にもたらすことのベネフィット(利益)
- 市場情報(詳細な他社状況、市場規模など)
- 強力な他社差別化ポイント
お読みくださっている読者の皆様におかれては是非空欄を埋めてみてください。
その難しさを実感できると思います。
ムーアの問い掛けに答えるには、曖昧性を完全排除する必要があります。
そして「キャズム」では、その名の通り、イノベーション理論の図中、②と③に多くな壁があり、そこを越せないと②の先にある多くの顧客層に辿り着けないと説いています。
②と③の架け橋を「メインストリーム」と呼びます。”崖にかかる丸太の橋”な感じでしょうか。
大半は崖(キャズム)に落ちてしまい、開発コストと顧客を失い、大失敗することになります。
かつてのシャープは「メインストリーム」を渡り続け、製品市場が④から⑤に移るあたりで先行逃げ切り。
ブルーオーシャンに製品を投入し、市場がレッドオーシャンになったら離脱。次なるブルーオーシャンへ、を繰り返していました。
当時のシャープは大企業であったにもかかわらず、その変わり身の早さを武器に、本当に素晴らしい企業運営をされていたと思います。
さてイノベーションのプロセスに話を戻します。
イノベーションのプロセスの大事なポイント
イノベーションのプロセスの大事なポイントを述べたいと思います。
- ハイテク製品の市場投入には②Early-Adopterの関心を呼ぶことが重要(宣伝、印刷物はあまり効果が無い)
- Early-Adopterの関心は”改善”ではなく”ブレイクスルー(現状打破)”である
- 初期段階での販売重視の戦略は間違い、この道を進むと社内の貴重な資源が販売にそがれることになる
- 製品の投入は戦略的に数を絞り、そこを起点として別の顧客を攻略できそうなターゲットを攻める
ここで疑問が沸いた方は鋭いです。
その答えですが、経営幹部がInnovatorであることは極めて稀だからです。
STEP-1:Early-Adopterへの導入
Early-Adopterの中で、ターゲットの選定と、向き合う戦略を立案します。
ターゲットの選定のためにリード(顧客)をセールス・パイプラインに載せることが重要なのです。そして選択と集中です。
戦略的には橋頭堡を築くことになります。敵地を市場に見立て、不利な条件での戦闘を有利に運ぶための前進拠点を作ることです。
そしてなによりEarly-Adopterの方は自ら広告塔になることをいといません。
STEP-2:市場展開(メインストリーム)への施策を実行する
そしてキャズムを超えるための「市場展開戦略」も要です。「市場展開戦略」はこの後に徐々にご説明してゆきます。