【連載】「セールス・プロセスの改善」とは(第5回)

連載で「セールス・プロセスの改善」について説明しています。

今回のお話しは資料の「STPマーケティングの目的」についてです。STPマーケティングはフィリップ・コトラー氏が提唱したマーケティング手法です。失敗談を交えて、STPの意味を説明してゆきます。

本連載は下記からダウンロードした資料を見ながら読むことで理解が進むと思います。是非、ご利用ください。

「セールス・プロセスの改善_202008版.pdf」(ウイルスチェック済)

今回のお話しは資料の「5.STPマーケティングの目的」についてです。

STPマーケティングの目的

STPマーケティングはフィリップ・コトラー氏が提唱したマーケティング手法の一つです。

どんなマーケティング手法の概念もSTPに帰結されるのではないでしょうか。
マーケティングには様々なフレームワークがありますが、STPを念頭に考え、進めることが肝要です。

STPの意味は下表の通りです。

Segmentation製品を投入する市場を顧客のニーズごとにグループ化し、 当面のユーザ層、購買層を見出す。
Targeting自社の競争優位を考えて参入すべきターゲットを決める。 特に参入する経済的価値(例:市場規模)と顧客ニーズを 考える。
Positioning顧客が獲得する利益を考える。そして広報などを使った自社 のポジションを確立するための策を考える。 ニーズ、CP値、独自化を考える。
(差別化は意味がない)。

この連載の最初に申し上げ上げましたが、新製品、革新的技術を駆使したサービスは特に上記STPの概念を忘れてはいけません。

またまた余談になりますが、私の経験談をお話しさせてください。

STPの失敗談

私が進めた新しい製品開発は、先生の指導の元、チームメンバーとSTPをしっかりと固めました。

そして社内の製品販売説明会などで「この領域に、決してアプローチしないでください」とお願いをしました。

しかし結果は、そのお願いは忘れ去られてしまい、各々勝手に販売活動を開始することのなりました。

最初はお客様様から目新しさから、概ね高評価を頂きます。

・・しかし売れません。

次第に営業部隊は「この製品は売れない」という雰囲気に飲まれてゆきます。
三ヶ月もすると”暗黙のダメな烙印”を押され、誰も見向きもしなくなります。

開発チームも、STPマーケティングで定めたドメイン(領域)外の営業活動に巻き込まれ、次第にチーム内でも不満がでてきます。

  • ちゃんとフロントをコントロールして欲しい
  • これ以上営業支援が続くと開発リソースが不足し、ロードマップを守れない

営業は売れない言い訳を始めます。

  • あれが足りない
  • これを追加して欲しい(上と同義です)

営業のこうした言い訳が出てくるのは必然です。

営業活動で展開したドメインはSTPマーケティングで狙った市場では無いので、齟齬が生じてしまうのです。

次第にプロジェクトは追い込まれてゆきます。
最悪マーケティング、営業、開発三つ巴の責任の擦り付き合いが始めます。

STPマーケティングを成功させるには

さて私は幹部の助言もあり、セールス専任プロジェクトを急遽立ち上げ、本来売るべきドメインへのアプローチを開始しました。

苦難はまだまだ続きますが、某社の研究所、遠隔支援などで少しずつ実績が積み上がってきました。
チャンスの到来です。

イノベーション・セリングのアクションは、以下に集約できます。

  1. STPマーケティングに合致した顧客と向き合う(アーリーアダプター)
  2. 選択と集中
  3. 一点突破

そのためにもプロジェクトが最初にやるべきことは、STPマーケティングであることは言うまでもありません

そしてSTPマーケティングの要諦は、前回に紹介したジェフリー・ムーア氏の問いかけにしっかり答えることです。

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